イドノナカ -狭い日常の憂いの喜びの-

世界の事はしらないけれど、僕は僕の事を知っている。目に見えたもの、聞こえたもの、言葉にします。

スーツが嫌いな就活生

恐らく僕だけではないはず。スーツが嫌い。

 

まず動きにくさが好きではない。シワになるような動きは制限されるし、重い、嵩張る、暑いの三重苦。しかし学生服がない今、スーツは唯一のフォーマルな服装だ。だから緊張する場、例えば冠婚葬祭もお世話になる。そしてスーツを着ること=緊張という図式が生まれ、不快になる。

 

悲しいかなスーツは就活生の勇者の鎧だ。

 

僕はパーティの隅で補助魔法を唱えていたいタイプ。勇者の鎧は似合わないし、そもそも装備出来ないのではと思う。間違った装備で就活というダンジョンに乗り込んでいる。そりゃ嫌いになる。

 

余談はさておき、就活はスーツの着こなしで決まると最近ほとほと感じる。服屋が言いそうな事だが、どこかそんな気がする。この言葉の意味するところは、スーツの質がいいとか悪いとかではない(ちょっとは関係するかも)。

 

企業説明会や面接へ行くと、僕は他人の服装が気になる。ネクタイの色や結び方、ボタンをどこまで留めているかとか。

 

それをみて僕は、ほつれかけた第2ボタンを眺めて、表面についた毛玉を撫でる。クリーニング仕立てなのにどこかだらし無い。成長を見込んで大きなサイズを買ったのに、成長しなかったので靴先は虚しく、合わない足は靴擦れする。

 

観察を経て気づいた事は、生地のデザインや質ではなくて、その人のやる気によって、スーツ姿が変わるって事。

 

スーツが似合う人は目の輝きが違う。真っ直ぐな背は自身の能力への信頼だ。やはりスーツは勇者の鎧だ。僕はそういう人に出会うと、自分の合否よりその人の成功を祈ってしまう。勇者を補助するタイプのキャラ。

 

自分もいつか勇者になれる時がくるのだろうか。本当に熱意をもって仕事を決める事が出来るのか。

 

スーツを洗おう。ほつれたボタンは直してあげよつ。もう暫く一緒にいないといけないから。